このプロジェクトを開催する5つのまちが運営するブログです。

2007年春のある日、東京、宮城、山形、岩手、北海道でまちの音を採集する目的で有志が集まった。砂利道を踏む足音、鬼ごっこをする子供達、ラーメンをすする音、新幹線のアナウンス、いつもは気にもかけない様々な音に耳を傾け、選択し、マイクでひろっていく。
7月に全国5地域をツアーするピアノコンサート『夏の旅』ではアーティスト向井山朋子がこのまちの音を編集し、『即興曲』を中心とするピアノ音楽のパートとして編み込んで新しいシューベルトを発表します。

   ◆ 各地域の コンサート情報はこちらから ◆

東京都 江東区 宮城県 仙台市 山形県 白鷹町 岩手県 一関市 北海道 札幌市


 旅に出るといつも考えることがある。
 知っている、ってなんだろうって。
 知っていたつもりだった事柄が、一瞬のうちに無効になったり、
 知らない場所の知らない人たちに妙に親しみを覚えたり。

 誰もが聴いたことのあるシューベルトの即興曲に、そこに住む人たちが
 集めた街の音のサンプルを織り込んでいく。
 それは東京から始まって、北に進む旅とともに少しずつ形を変え続ける。
 ゆっくりと、私達が「知る」まえに。
                                        向井山朋子




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4月12日
2007年 04月 13日  
文・写真  向井山 朋子

プレチャニックが設計したした大学の図書館(NUK)。
重い鉄の扉を開け、薄暗い大理石の階段を上っていくと、光が降り注ぐ閲覧室がある。
知(光)を求めて人々が訪れる図書館の本質を体現している、と言われている。
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1930年代に建てられたスカイタワー付きのモニュメントビルの階段。
最高階から5フロアが売りに出ていて,現在オークションにかけられているらしい。
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by dahadahay | 2007-04-13 07:04 | 現在進行形の向井山朋子

アサヒ・アート・フェスティバル2004年を巡る旅 : 6月のこと
2007年 04月 13日  
1ヶ月にわたり3万人を超える観客を巻き込み、全国で展開した2004年アサヒ・アート・フェスティバル。この大企画を全部巡る旅を行ったラウンドスケープアーキテクト・フォトライター竹田 直樹氏の記録の中から「向井山朋子のコンサートの記録」を4回に分けて紹介させていただきます。

e0114540_2481617.jpg(1) 2004年6月8日 岐阜県可児市
   for family ~ うちのピアノ 
   ≪宅配コンサート編≫ 


(2) 2004年6月13日 三重県尾鷲市
   my life / your life 
   アムステルダム/尾鷲


(3) 2004年6月16日 岐阜県可児市
   for family ~ うちのピアノ 
   ≪コンサート編≫ 


(4) 2004年6月17日 東京
   ピアノ100% in 深川
 (AAF深川アートセンターの企画のひとつ)


出版社 : マルモ出版  「まちにアートの風が吹く

まちにアートの風が吹く
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by dahadahay | 2007-04-13 02:16 | スタッフ 彼是

これまでの向井山朋子 : 2004年6月8日 岐阜県可児市
2007年 04月 13日  
文・写真  竹田 直樹 (ラウンドスケープアーキテクト/フォトライター)

2004年6月8日(火)可児 雨

旅芸人になる

for family ~ うちのピアノ ≪宅配コンサート編≫

 アムステルダム在住の向井山朋子は、ロンドンシンフォニエッタやロッテルダムフィルハーモニーなどにソリストとして招かれ、現代音楽の第一線で活動するピアニストである。同時に美術家、建築家、コンテンポラリーダンサーなどとのコラボレーションや、一人の観客のためのコンサートシリーズ「for you」をヨーロッパや北米で展開するなど音楽の新しい可能性を開拓し続けている。そんな彼女が、4日間、岐阜県可児市周辺で、公募によって選ばれた17家族のために家庭のピアノを演奏する宅配コンサート「for family」を行うという。

 可児市は名古屋から一時間ほどの郊外と農村の中間のような小さな街だった。雨の朝、私と向井山、このプロジェクトのディレクターの森真理子、それと地元在住のボランティアで車を運転してくれる倉田真弓さんの4人の旅が始まった。

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(左) 水野さん宅でのコンサート        (右) 岐阜県加茂郡八百津町の水野さんの家へ


 「だれのために……ということ。200人、2,000人のコンサートとは違う、たとえ15分でも、あなたのために……。客席とステージ、音楽とピアニストと観客、こういう関係を再構築したいと思う」と向井山。車はやがて山道へ。途中、川霧の立ちこめる木曽川を見る。しばらくして加茂郡八百津町の山あいの静かな集落に到着。古い大きな木造の民家を改築した開放的な家には、建築家の水野さんと夫人、大学で建築を学ぶ息子さんの3人が静かに待っていた。建築家の家らしく、室内は研ぎ澄まされたシンプルなインテリアにまとめられている。広いリビングの片隅にピアノがぽつんとあった。夫人が結婚する時に母に買ってもらったものだとのこと。向井山は少し家族と話す。そして、演奏が始まった。1曲目は、オランダ人シミオン・テン・ホルトの「悪魔のダンスII」(1986)。19世紀音楽の香りを残すミニマルな曲だった。小さなフレーズが少しずつ変化しながら際限なく繰り返される。テン・ホルトの曲は、音符とリズムは固定されているが、強弱、反復、パターンの繰り返しは奏者が決めることになっている。降りしきる雨の音と音楽が輻輳し時間と空間が混ざるよう。コンサートホールではありえないたおやかでしっとりとした時間が過ぎる。2曲目はオランダ人ペーター・ヤン・ワーグマンの7楽章からなる協奏曲で、向井山がオランダラジオ室内オーケストラと共演し2002年に初演した「エデンの庭師」(2001)より第3部。超絶技巧的でフィジカルな曲は、ヨーロピアンアカデミズムとでもいうべき洗練された硬質なテイストに包まれていた。この曲では、家庭用のピアノは完全に限界を見せる。その後、向井山は少し家族と話し、次の家に向かうことにする。30分ほどのことではあったが、ピアノにとっても家族にとっても歴史的な出来事であったに違いない。

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岐阜県可児市の杉下さん宅で


 2軒目は、可児市内の杉下さんの家。夫人と近所の親戚など5人の女性と小学生ぐらいの子供6人が待っていた。子供たちはにぎやかに走り回っている。向井山は、「はじめるからちょっと静かにしててね」と子供たちにやさしく言って、ピアノの上にあった置きものの類を片付け、うわぶたを開ける。1曲目のブリュッセル在住のアメリカ人フレドリック・ジェフスキーの「ノースアメリカンバラードより-「Down by the Riverside」(1978)は、ベトナム戦争当時、アメリカで歌われていた反戦のゴスペルを題材にする曲で、本来、政治性をもつ曲なのだが、メロディアスで聞きやすくポエティックでムーディーなもの。途中に即興のパーツを含み、やわらかなテイスト。2曲目は佐藤聰明の「化身II」(1977)。クラブシーンを思い起こさせる細かく震えるようなトランス音を作る。もちろん作曲年からして今日のクラブシーンを先取りしている。3曲目は、ロベルト・シューマンの「アラベスク」Op.18(1839)だったが、それは19世紀音楽とは思えない現代的なものに感じられた。子供たちは静かに聞いていた。演奏の後、向井山は集まった人々と少し話をして家を出る。その時、子供たちが花束を一つずつ向井山に手渡した。

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岐阜県可児市の山口さんの家


 3軒目は、同じく可児市内の山口さんの家。家の中は、20人ほどの母親と40人近い幼稚園児で鮨詰め状態。その後も母子が続々と訪れ家に入れず庭に人垣ができる。向井山は演奏を始める直前に紙に曲目をメモしプログラムを作る。家の状況にあわせて瞬時に考えているようだった。騒然とした状況下、一曲目は、イタリア人シャリーノの「ピアノソナタ第2番」(1983)。厳密に計算され尽くしたニューコンプリシティーとでもいうべき強度にフィジカルな曲だった。家庭用のピアノは、きしむように唸りを上げ、フルスロットルで高速道路を走る軽自動車のようだった。私は、こんな状況の中、あえて向井山が、この曲を選んだのだと思った。それは「さあ、みんな、おだまり!」と言わんばかりの演奏だった。そして、実際、家は静まりかえる。静まったところで、2曲目は前の家でも弾いたジェフスキーのやわらかな曲。3曲目は田中カレンの「テクノ・エチュード」(2000)。クラブシーンの影響を感じさせるスタイリッシュな曲だった。演奏が終わるとアニメのキャラクターのような夫人が、大量の料理を運びだし、大パーティーが始まった。ご主人も帰ってきて向井山と話す。パーティーは続いていたが、私たちは次の家に向かうことにする。向井山は、大量の花束とこの地方特産の手作りのほうば寿司をもらい大勢の人々の見送りの中、車に乗り込んだ。
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 この日最後の家は、加茂郡七宗町にあり、少し時間がかかる。すでに夕方になっていた。雨が降りしきる。私は、次の家のことやそこでの向井山の演奏のことを想像し、愉快な気分になった。私たちは旅芸人の一座のようでもあった。車は深い山あいへ。
 前嶋さんの家は、新しく立派でセンスのよい本格的な和風建築だった。夫妻と小学生の姉妹と小さな弟、それにおじいさんが静かに待っていた。
 ここでの演奏は、向井山がクラブのDJのように即興で、3つの曲を組み合わせたものだった。オランダ人トゥック・ニューマンの「ソイール」(2003)から、シューマンの「アラベスク」、そして、テン・ホルトの「悪魔のダンスII」へ。ニューマンからシューマンへの移行の際には、幾度か行き来があった。それはうねるように曲想が変化する一つの曲だった。
 演奏が終わると外はすっかり暗くなっていた。私は、初めて訪れた町で、雨の中4軒の知らない人の家を訪問し、向井山のコンサートを4回聴いた。
 ひとり闇夜の中央道を東京へ。
上/山口さんの家を去る。
  左から、ボランティアの倉田真弓さん、
       ディレクターの森真理子、
       ピアニストの向井山朋子
中/岐阜県加茂郡七宗町の前嶋さんの家へ
下/前嶋さん宅でのコンサート

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by dahadahay | 2007-04-13 01:30 | スタッフ 彼是

これまでの向井山朋子 : 2004年6月13日 三重県尾鷲市
2007年 04月 13日  
文・写真  竹田 直樹 (ラウンドスケープアーキテクト/フォトライター)

6月13日(日)尾鷲 晴れ

漁港と運河

my life  / your life アムステルダム/尾鷲

e0114540_11475662.jpg 漁港の近くにある尾鷲市民文化会館せぎやまホールのすぐ脇を流れる中川にはアユの群れが見える。釣り人が長い竿を出していた。ホールの前の波止では、子供たちが小アジを釣っている。
 雲ひとつない青空が薄紫色に変わり始めると、どこからともなく大勢の人々が集まってきた。京都でアーツスタッフネットワークを運営する樋口貞幸が企画運営する向井山朋子のコンサート「my life / your life アムステルダム/尾鷲」が開演となる。

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アムステルダムの運河の映像を背景に演奏する向井山

 1曲目は、シミオン・テン・ホルトの「悪魔のダンスII」(1986)。向井山の背景には、彼女が撮影したアムステルダムの運河の映像が投影される。ミニマルな曲想と船の中から撮影した単調に流れ去る外国の都市の風景は、相互に関連しあい、壮大な叙事詩のようだった。アムステルダムの風景は、ここではオランダ人と結婚し、長くアムステルダムで暮らす向井山のマイライフとしての意味を持ち、観客は彼女が暮らす街の風景を知ることとなる。演奏が終わると向井山は夫が尾鷲での彼女の公演についてオランダ語で語る声を会場に流した。内容はだれにもわからなかったと思うが、観客は彼女の夫の声を知る。その後、4人の尾鷲で暮らす人々がステージに上がり、向井山とトークとなった。年金で生活する人、尾鷲に移り住んだ人、福祉に取り組む人などが、彼女とたわいもない話をした。でも、彼らは、社会的な立場とは無関係な純粋な自分の言葉で、自らの尾鷲での人生について語った。それは、向井山から見たユアライフ。
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ステージ上で尾鷲の人々と話す向井山

 向井山は、コンサートでの演奏者と観客という従来からの関係性を変えようとする。このコンサートでは、どんな人がどんな人のために演奏するのかということをテーマとした。観客にとって向井山は単なる演奏者ではなく、向井山にとって観客は単なる聴衆ではなくなった。ごく一部かもしれないけれど、両者はそれぞれのことを感覚として知っている。

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 再び演奏が始まった。ペーター・ヤン・ワーグマンのエデンの庭師(2001)より第3部に続き、ロベルト・シューマンの「アラベスク」(1839)、そして、サルバトーレ・シャリーノの「ピアノソナタ第2番」(1983)、最後はフレデリック・ジェフスキーの「Down by the Riverside」(1978)。
 拍手は鳴りやまず、アンコールは2曲となった。田中カレン「テクノ・エチュード」(2000)とトゥック・ニューマンの「ソイール」(2003)。
 シューマンを除けば、いずれの作曲家も向井山が日常的に交流しているの知人である。この日、彼女は知人の曲を知人のために演奏したのだと思う。演奏された曲は、あくまで最先端の現代音楽だ。熱狂的ともいえる観客の拍手は、純粋に音楽に限定されたものでないのはあきらかだった。
 観客は、向井山の人生と彼らの人生が、一瞬かもしれないけれどつながったことに対して拍手した。
 終演後、向井山はスタッフたちと夕食に。私はひとり満天の星空を見ながらホテルに向かう。
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by dahadahay | 2007-04-13 01:20 | スタッフ 彼是

これまでの向井山朋子 : 2004年6月16日 岐阜県可児市
2007年 04月 13日  
6月16日(水)可児 晴れ

17家族の伝説

■ for family ~ うちのピアノ ≪コンサート編≫

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ワークショップで全体調整に入る


 岐阜県可児市周辺で行った向井山朋子の宅配コンサート「for family ~ うちのピアノ」のコンサート編が開催される。可児市文化創造センターに到着すると、向井山がひとりカフェにいた。私と向井山は、それぞれの尾鷲での夜について少し話す。それはともにたわいもないものだった。コンサートに先立ちワークショップが予定されていて、宅配コンサートで訪れた家庭の中から選ばれた、幼児から中高年の大人までの7人が集まった。ホールには、4台のグランドピアノが用意され、向井山を含めて8人が2人ずつ着席するようになっている。彼らには、宅配コンサートの時に向井山からその印象を絵でも文でもよいから描いて当日持ってくるようにという宿題がだされており、7人はそれを譜面台の上に置く。そして、一人ずつその内容をピアノで表現することになる。そういわれても、とまどってしまう参加者が多かった。向井山は、一人一人と方向性を探る。各自の弾き方が決まると、全体での調整が1時間ほど続く。成果はこの後コンサートの時に発表されるのだ。ワークショップは終わり、ひとときの静寂が訪れる。
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ワークショップで7人の参加者一人一人と調整する向井山朋子


e0114540_1454274.jpg 夕日がなだらかな丘のかなたに沈み開演となる。まず、茂木綾子による宅配コンサートの映像が流された。車で移動する向井山の姿、家族の表情、街の風景、リビングルームに置かれた一台のピアノの前に向井山が現われ、うわぶたを開け、少し話した後、シミオン・テン・ホルトの「悪魔のダンスII」(1986)を弾き始める……。すると暗いステージに向井山が現われ、ピアノの前にすわり、同じ曲を弾き始めた。映像の音とピアノの音が重なり、やがて映像の音は消え、向井山にスポットライトがあたる。こうして、コンサートは始まった。
 2曲目の野村誠作曲、向井山編曲の「AB~for family版」は、ワークショップの成果として演奏された。7人の参加者と向井山がピアノの前に着席し、曲は始まった。向井山が短いフレーズが際限なくミニマルに繰り返される主旋律をひく。参加者はそれぞれの絵や文の印象を基にした音を出す。向井山の音と参加者の音は混ざる。濃霧に閉ざされた薄暗い海の中をゆっくりと進む船に乗っているかのような印象だった。霧の中から突如、他の船が次々に現われる。参加者たちの作る音だった。こうして、向井山は宅配コンサートを自らの曲に取り込み、人々との出会いをステージの上で再現して見せた。それは、まさに私が数日前に体験した旅でもあった。
上/茂木綾子による宅配コンサートの映像の前で演奏する向井山
下/茂木の映像作品の1シーン


 後半は、4つの曲が切れ目なく一気に演奏された。サルヴァトーレ・シャリーノの「ピアノソナタ第2番」(1983)に続き、ペーター・ヤン・ワーグマンの「エデンの庭師」(2001)より第3部、ここでシューマンの「アラベスク」(1839)を少しはさみ、佐藤聰明の「化身II」(1977)、最後は再びシューマンだった。大胆に変転する壮大な1曲に編集された4つの曲は、つなげられことにより緊張感をおびる。前の曲の余韻の中からすぐさま立ち上がっていく次の曲は刹那的でもあった。特に、印象的だったのは佐藤の「化身II」である。この最新のホールは、スピーカーを使ったエフェクト効果が可能であったため、ほんの少し遅らせてスピーカーから音を出す。いわゆるディレイエフェクトをこの曲では使ったのである。ピアノの連打によるトレモロは、この処理によってホールの中に巨大な音像を形成。それは、深い谷が風で低くうなりを上げるような圧倒的な音であり、向井山はピアノで風を操る魔神のようだった。
 拍手は鳴りやまなかった。アンコールの1曲目は、ジェフスキーの「Down by the Riverside」(1978)。田中カレンのとりわけお洒落な「テクノ・エチュード」(2000)で締めくくられた。
 可児でのプロジェクトはこれで終わった。向井山のコンサートは、17家族の伝説になり、そして、向井山と17家族の話は、街の伝説になるのだと思う。

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可児文化創造センターからの眺め。




■ for family ~ うちのピアノ ≪展示編≫

宅配コンサートで回った家のピアノの履歴書が展示。
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by dahadahay | 2007-04-13 01:10 | スタッフ 彼是

これまでの向井山朋子 : 2004年6月17日 東京
2007年 04月 13日  
6月17日(木)東京 曇り

夜の音楽

ピアノ100% in 深川 (AAF深川アートセンターの企画のひとつ)
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東京の夜景を背景にした「ピアノ100% in 深川」


 門仲天井ホールに向井山朋子のコンサート「ピアノ100% in 深川」を聞きに行く。まだ、青みの残る都心の夜景に囲まれた会場の中央に置かれたピアノを70人程の観客が取り巻くように座る。向井山が現われた。冒頭のシャリーノの「ピアノソナタ第2番」は、始まったばかりの夜に杭を打ち込むかのように始まった。向井山が「シャリーノの音楽は夜の音楽だ」というように、それは夜景にふさわしい。硬質で冷たい強固な音楽だった。連続してトゥック・ニューマンの「ソイール」。ソイールとは、ノルウェー語の方言で、動物あるいは汗の匂いを意味するという。凶暴で荒々しくアグレッシブだが、ソフィスティケートされている。曲の終盤は、まるで怒りが治まるかのように静けさが訪れるのだが、そのあたりから、曲はシューマンの「アラベスク」と細かく行き来を始め、最後はシューマンとなる。アラベスクとはアラビア風のという意味で、イスラム文化圏の工芸品や建築装飾などに見られる唐草模様を指す。「楽曲をつなぐ唐草のように置いてみた」と向井山はいう。シューマンは、シャリーノやニューマンが、私の心に入り込むために作った傷を癒すかのようだった。そして、シミオン・テン・ホルトの「悪魔のダンスII」。1930年代に、北オランダのベルゲンという海岸沿いの街に、画家や詩人たちが集まって、アーティストの街を作り、ベルゲン派が生まれるのだが、テン・ホルトは、この街の画家の息子である。「悪魔のダンスII」は、いかにも北部ヨーロッパ的な深いロマンティシズムをもつ。暗く寒い雨の朝のような雰囲気。風景を想い起こさせるところがあって、おそらく作曲家は視覚的なイメージを音楽に変換しているのだと思う。向井山が可児や尾鷲で、この曲を映像とともに演奏したのもそういう性質を生かしたのだろう。連続して、ペーター・ヤン・ワーグマンの「エデンの庭師」より第3部。この曲もまた、シャリーノやニューマンと同様に、人の心に入り込む。向井山の超絶技巧的な演奏は、身体的な激しいものだが、曲も演奏も極度に洗練されている。そして、ほんの少しシューマンが入り、佐藤聰明の「化身II」が静かに立ち上がる。この部分は美しかった。そして、ディレイエフェクトにより増幅されたピアノの音が干渉し荘厳なトランス音の音像を形成。「ピアノの連打、トレモロがディレイをかけることによって、音の粒子が干渉しあい、日蝕のコロナのように輝き、音の陰に隠された、もう一つの豊穣な音の響きを聴くことを願った」とは作曲家のコメント。私は、輝く高層ビルの背後をゆっくり上昇する旅客機の明りを見ながら、この場所が宇宙の中心であるかのような錯覚に包まれる。
 そして、ほんの少しシューマンが演奏されコンサートは終わった。
 アンコールは、ムーディーなジェフスキーの「Down by the Riverside」。
 可児や尾鷲で何度も聞いた曲目だったけれど、向井山は場所によりひき方が異なるだけでなく、曲の構成の違いによって印象は全く異なるものなり、全てのコンサートは新鮮だった。
 この日、私は、次に向井山に会う予定がないことが、寂しかった。
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by dahadahay | 2007-04-13 01:04 | スタッフ 彼是

4月11日
2007年 04月 12日  
文・写真  向井山 朋子

昨日、今夜はスロヴェニアの首都、リュビリャナで公演がある。
ここは ザルツブルグ、ベネチア、アドリアナ海へ数時間という地理に恵まれ、
旧ユーゴでは最も美しく、文化的にも豊かな国だ。
昨夜のNDTの 公演では,熱心な観客の拍手が長く続いた。


カフェにたむろするリュビリャナのティーンエージャー達。
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by dahadahay | 2007-04-12 03:23 | 現在進行形の向井山朋子

● 音採集/SAPPORO ● ワークショップのお知らせ ● 4月22日 ●
2007年 04月 11日  
文・チラシ  大黒 淳一 「夏の旅」札幌スタッフ

● 2007年 4月22日 (日)

事前ワークショップ 『音採集 / SAPPORO』

サウンドアーティストの指導の下、参加者とともに まちの音の採集をして歩きます。
昆虫採集や ぶどう狩りのような感じです。
音を通して見える「まち」「札幌」とは。。

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ワークショップ講座「札幌の音を探そう」

● 日時 : 2007年4月22日(日)PM13:00-PM17:00 (詳細↓)
● 場所 : モエレ沼公園 ガラスピラミッド内 スペース1
● 住所 : 札幌市東区モエレ沼公園1-1 TEL(011)792-2595
● 定員 : 10名
● 必要事項 : 録音出来る機材とヘッドフォンを持参の事。
         (マイクと録音機能の付いたMP3プレーヤー、ビデオカメラ、
        MDプレーヤー、ポータブル録音プレーヤー、カセットレコーダー等)
● 講師 : 大黒 淳一 (サウンド・メディア・アーティスト)


 「実施内容」 
自分たちが住んでいる札幌ならではの音を録音して新たな街の良さを発見する。

1) 音と録音に関しての講義とフィールドレコーディングのレクチャー
2) モエレ沼公園内にある様々な音を録音する。



 「このワークショップ・プログラムでの狙い」
● 音に関してのワークショップは殆ど皆無なので音に関しての興味と知識を養う。
● 日常にある見過ごしがちな環境音に面白さが埋まっていて、それを発見する為に必要な観察力や新しい視点と発想力を、このワークショップを通して養う。

● また7月にオランダから来日する向井山朋子氏のピアノコンサートとコラボレートする為、今回録音した環境音をバックグラウンド音源としても使用する。


 「成果」
● 参加者が録音した環境音はBlogやポッドキャストで紹介する。
● 7月の 向井山朋子氏のピアノコンサートのバックグラウンドで環境音として使用される可能性がある。

  「日時 詳細」 ・・・ 2007年4月22日(日) 
▽ PM13:00 : モエレ沼公園 ガラスピラミッド内 スペース1に集合

▽ PM13:00 (講義) : モエレ沼公園 ガラスピラミッド内 スペース1にて
                 ワークショップレクチャー

▽ PM14:00(録音) : モエレ沼公園内を探索して各自が環境音を録音する。

▽ PM15:00(収集)  

▽ PM15:30(発表) : 参加者の各自録音した音を発表する。

▽ PM16:30(解散) 


●申し込み/問い合わせ:
夏の旅「札幌プロジェクト」(NPO S-AIR内 担当柴田)

札幌市豊平区豊平1条12丁目1−12
インタークロス・クリエイ ティブセンター401 NPO法人S-AIR内

shibata@s-air.org
tel. 011-820-6056

募集期間は、4/9-4/19です。
皆様の参加をお待ちしています!

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by dahadahay | 2007-04-11 20:54 | 北海道 札幌市

向井山朋子 in 門仲天井ホール (2006年)
2007年 04月 10日  
編集  梅坪 弥代 「夏の旅」札幌スタッフ

2006年に開かれた向井山朋子ピアノコンサートの様子です。
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オランダ・アムステルダム在住の向井山朋子は、音楽を含めた現代日本のアートシーンで、最も刺激的なアーティストです。
一日目(7/29)は、現代曲を楽しく大胆に演奏する「ピアノ100% vol.2 in すみだ川」。 
二日目(7/30)は“創るピアニスト”としての活躍もめざましい彼女が、イタリアで修行した新進シェフと共に音と味覚で織り成す「long night in すみだ川 コンサート/ディナー/パーティー」。 

冒険者たらん私たち観客の五感と精神に、鮮烈な体験をもたらしてくれることでしょう。
募金によって1993年に購入された<もんてん>の二代目ピアノ、スタインウェイピアノがとりもつ新たな出会いです。

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シェフの料理は素晴らしかったです。
鈴木誠 (香土cadeauシェフ)
イタリアはローマのリストランテ、そして都内のイタリアンレストラン数件でシェフ、ソムリエとして働いた経験をもとに、2005年12月 白金高輪のワインバー
「cadeau」のシェフに就任。
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AAF すみだ川アーツのれん会
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当時のイベント情報はAAFすみだ川アーツのれん会で当時のブログも見れます。
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by dahadahay | 2007-04-10 19:01 | スタッフ 彼是

2007年 4月
2007年 04月 08日  
文・写真  向井山 朋子

四月はネーザーランドダンスシアター(NDT)と一緒に3週間、おもにバルカン半島をツアーしている。

NDTはモダンダンスでは世界一のカンパニーだろう。聞くところによると、ダンサーの引退などでポジションが空くと、世界中から500人ほどの若いダンサーがオーディションに押し寄せるらしい。そうして選ばれた彼らは、言うまでもなく、舞台ではきらきらと光るオーラを放っている。

でも、一端ステージから降りるとその輝きを隠すかのように、みなオーラをうまく閉じ込める術を持ってる。もっとも最も乗り継ぎ便を待つ空港のロビーで光り輝く一団になっても困るだろうが。


今まで訪れた中でも一番印象に残るソフィアの自然史博物館。5階建ての古い建物にありとあらゆる生き物の剥製がガラスの中に展示されている。
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ソフィア、ブルガリアの路上で。バスを待っていたら、男性に襲った突然の死の場面に居合わせてしまう。
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ブカレスト・ルーマニア、オペラ座でキリアンの作品「Tar and Feathers 」のリハーサル風景
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by dahadahay | 2007-04-08 07:45 | 現在進行形の向井山朋子

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アサヒビールメセナ 
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(2007年12月3日発行)


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