このプロジェクトを開催する5つのまちが運営するブログです。

2007年春のある日、東京、宮城、山形、岩手、北海道でまちの音を採集する目的で有志が集まった。砂利道を踏む足音、鬼ごっこをする子供達、ラーメンをすする音、新幹線のアナウンス、いつもは気にもかけない様々な音に耳を傾け、選択し、マイクでひろっていく。
7月に全国5地域をツアーするピアノコンサート『夏の旅』ではアーティスト向井山朋子がこのまちの音を編集し、『即興曲』を中心とするピアノ音楽のパートとして編み込んで新しいシューベルトを発表します。

   ◆ 各地域の コンサート情報はこちらから ◆

東京都 江東区 宮城県 仙台市 山形県 白鷹町 岩手県 一関市 北海道 札幌市


 旅に出るといつも考えることがある。
 知っている、ってなんだろうって。
 知っていたつもりだった事柄が、一瞬のうちに無効になったり、
 知らない場所の知らない人たちに妙に親しみを覚えたり。

 誰もが聴いたことのあるシューベルトの即興曲に、そこに住む人たちが
 集めた街の音のサンプルを織り込んでいく。
 それは東京から始まって、北に進む旅とともに少しずつ形を変え続ける。
 ゆっくりと、私達が「知る」まえに。
                                        向井山朋子




カテゴリ:現在進行形の向井山朋子( 23 )
 

夏の終わりに
2007年 08月 16日  
文  向井山 朋子

旅先では思いがけない不思議な出来事や、予期しない偶然がおこり、それが人を神妙に、そして少し幸せにする。


コンサート当日、よく知っているはずの東京を感傷的な街にしてしまった霧のような雨。


以前から一度、空間を体験してみたいと思っていた日本を代表する建築物、仙台メディアテーク。その空間いっぱいに意志を持ったように散らばったオレンジの椅子群。


裏山からの闇が、かえるやヒグラシの鳴き声とともに開いた戸から流れ込んできた白鷹山の麓の廃校。

コンサート前夜に平泉の平野に広がった朱色の夕焼け。


札幌でwastedの生理の話を最も共感を持て聞いてくださった優麗な60年代のご婦人グループ。



小さい子供の頃、楽しくたまらない遊びをすると翌日また同じ興奮を味わいたくて、繰り返しの実験をよくやった。

同じ場所で、同じ友達と、同じ時間に慎重に前日の一挙一動を反復するのだが、なぜか昨日のドキドキする感覚は戻ってこず、がっかりしたものだ。

私たちはもう大人になってしまって、シューベルト、街の音、住人の話し声が紡いでいったあの空気、普段の生活から切り取られたような特別の時がもう戻ってこないのを知っている。

だから私たちはまた新しい旅をする。

キラキラした時間を探して。
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by dahadahay | 2007-08-16 00:30 | 現在進行形の向井山朋子

公演時のプログラム
2007年 08月 02日  
「夏の旅」~プログラムノートにかえて
文  向井山 朋子

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 コンサート入り口のところに、Kiriko Mechanicusがアルベルト・ジャコメティの「歩く人」の絵はがきの上に描いたデビルの絵を掛けてある。ジャコメティおなじみの一歩踏み出した細長い足のあいだからはシッポが生え、薄い背中にはコウモリのような羽がついている。街にあふれるグラフィティーの語彙、love, fuck, smileのたぐい、HELLのサインがしてある。
 「夏の旅」は東京、仙台、山形、岩手、札幌に住む人たちが集めてオランダに送ってくれた200以上にのぼる街の音のかけらを選択し、切ったり、編集したりしてサウンドトラックを作り、シューベルトに重ね、それぞれの街に再び持ち帰るというピアノコンサートだ。自動販売機の人工音声、うっとうしい街頭演説、地下鉄の音、そして街にあふれる人の声が、ピアノコンサートという空間に持ち込まれ、古典ピアノ音楽と重なり、そしてまた私たちの日常と重なっていく。
 18世紀、いや西洋音楽史上最も偉大でアンタッチャブルな作曲家、だと思っていたシューベルトを「夏の旅」のために切り刻んで バラバラにしてしまった。解体しサウンドトラックと組み合わせ、もう一度組み立てていく過程で、その作品の宝物のような美しさを手に取るように再認識する機会をえられた。やがて昔の姿を取り戻した今夜のシューベルトはかつての大作曲家シューベルトではなく、踏み出せば寄り添うことのできる‘わたしのシューベルト’となった、ような気がする。
 美術史上に残る大作、何世紀も経た古典作品が時間を超えた普遍の力強さ、いつの時代も人の心に深く永久の美を備えていることはもう知っている。 でも今を生きる私たちひとりひとりは、この大家達のマスターピースとどうやってかかわることができるだろう? 金字塔のような「古典作品」をすこしだけ私たちの側に引き寄せてみることはできないだろうか?
 そうだ、この誰もが知っている「即興曲」に可愛いツノをつけよう。ある春の日にみんなが採集してきてくれた街の音、生活音を槍がわりにして。


【プログラム】
Franz Schubert ‘Impromptus op 90 D899’
フランツ・シューベルト : 『即興曲』

Simeon ten Holt ‘Canto Ostinato’ (1979)
シミオン・テン・ホルト : 『カント オスティナート』 (1979)

Tomoko Mukaiyama
向井山朋子 : 『夏の旅』 (2007)


集められた「200以上のまちの音」

夏の旅プロジェクト
 東京、仙台、白鷹、東山、札幌。それはまったく環境の異なる地域です。4月から5月にかけて各まちの人たちが集めた「音」は、200以上にものぼりました。まちが奏でる多様な音はそこで生きる人々の証のようでもありました。時には、耳をそばだてても音を聞くことができないほど、静寂な場所もありました。音で切りとった私たちのまちは、いつもと違う姿を見せてくれました。

◇ 東京/門前仲町、木場公園、錦糸町・亀戸周辺、隅田川河畔で集められたのは、自動販売機の音、ラーメンをすする音、ATMの音など

◇ 仙台/メディアテークに響く足音、仙台駅の物売りの声、一番町四丁目商店街の人声、おそばさん竹の女将が語る「お客とそばやのエネルギー」の話、市バス・新幹線のアナウンス、朝市の呼び声など

◇ 山形/白鷹町内、滝野交流館周辺、あゆ茶屋・日本一のやな場、最上川河畔、ふるさと森林公園などで集めた小川が流れる音、鉄橋を電車が渡る音、やな場に水が流れる音、枯れ草を踏んだ足音、林のなかの風の音、鳥の鳴き声、ワゴン車のディーゼル音、機織りの音など

◇ 岩手/東山町町内の電車の音や車の音、砂鉄川河畔の音、紙すき館での音、幽玄洞の中の音など

◇ 札幌/モエレ沼公園(鳥、葉の音。子供の遊ぶ声。自転車。ガラスのピラミッドの反響音。)、雪解け水の音、風の音、地下鉄のブレーキ音など
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by dahadahay | 2007-08-02 22:25 | 現在進行形の向井山朋子

wasted in プラハ
2007年 07月 11日  
文・写真  向井山 朋子

夏の旅の準備の合間を縫って2日間でチェコの首都、プラハに行ってきた。2009年に発表予定のインスタレーションプロジェクト、wastedのロケーションを訪れるためだ。ちょうど開催中のプラハビエンナーレも観覧することができた。

開催地となる Thamova Hallはもともと今世紀初頭に建てられた工場で、壁のない7000平方メートルの巨大な箱だ。少し黄色がかった古いガラス窓から柔らかい日光が降り注ぐ。
地元の経済人から2009年の春、wastedの発表ために好きなように使っていいという、ありがたいオファーをいただいた。


wasted(無駄にされた、だめになったの意)は12,000人の世界中の女性に参加を呼びかけて行う、月経血の印のついた12,000着の白い絹のドレスのインスタレーションプロジェクトだ。
タイトルはむしろ逆説的、無駄になったものなど何もない。
かつてのこの鉄骨工場に、しみの付いた白い無数のドレスが一人一人のいとおしい物語を紡ぐだろう。


それにしてもこんな贅沢な空間、ほんとうにわたし一人で使っていいのかな?

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by dahadahay | 2007-07-11 00:10 | 現在進行形の向井山朋子

meet the artist
2007年 07月 09日  
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by dahadahay | 2007-07-09 15:47 | 現在進行形の向井山朋子

this is not art #4
2007年 06月 28日  
by Giacometti x Kiriko
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by dahadahay | 2007-06-28 22:21 | 現在進行形の向井山朋子

Did Jusus have a beard?
2007年 06月 26日  
film Dick Tuinder, Aryan Kaganof & Tomoko Mukaiyama
文  向井山 朋子

昔の話だから書いてしまうが、この作品を一緒に作ったAryan Kaganof はアムステルダム時代、深ーくドラッグに浸っていた。マリファナなどの軽ドラッグだけではなく、非合法の粉、煙、錠剤、液体、体に入れられるものは何でもやっていたようだ。
当時はイアン・ケルコフという名前で映画を作り、日本でもファンクラブがあったくらいだから、ご存知の方も多いと思う。
現在は拠点を南アフリカ、ヨハネスブルグに置き、映像作家、詩人、美術家、音楽家として、また最近は世界中のアート仲間、我が家の記梨子も参加しているart blogの出版、と実に幅広い制作活動を行っている。

数年前には、3日間睡眠を取らずに美術館の壁中にテキストを描き続ける展覧会を自ら企画するなど、驚異的な精神力の持ち主だ(ちなみに彼は何年も前にクリーンになったので、ドラッグのせいではありません)。
そんなAryanとずっと前から計画している共同プロジェクトがある。ピアニズム。夜更けから翌日の夜更けまで24時間、ピアノという楽器、ピアノ音楽、文学の中でのピアノ、ピアノにまつわるありとあらゆるはなしを即興で描き出す、映像、文学、そして音楽のパフォーマンス。観客ももちろん24時間ともにするのだから不思議な体験になるだろう。が、何しろ私は十分に睡眠をとらないと演奏できない(当たり前か)体質なので、何かと理由を付けて延期している。確かにロマンチックな作品になるに違いないが。


Did Jesus have a Beard ?


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by dahadahay | 2007-06-26 22:30 | 現在進行形の向井山朋子

this is not art #3
2007年 06月 25日  
写真  向井山 朋子

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by dahadahay | 2007-06-25 19:05 | 現在進行形の向井山朋子

this is not art #2
2007年 06月 24日  
写真  向井山 朋子

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by dahadahay | 2007-06-24 20:37 | 現在進行形の向井山朋子

this is not art #1
2007年 06月 23日  
写真  向井山 朋子
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by dahadahay | 2007-06-23 14:23 | 現在進行形の向井山朋子

ピアニストによる作品の創造~向井山朋子の行方をめぐって (1)
2007年 06月 16日  
文  藤井明子 (愛知芸術文化センター愛知県文化情報センター主任学芸員)


 向井山朋子は、西洋クラシック音楽の延長線上にある現代音楽の作品を得意とするピアニストだが、それ以上に「変わった」ピアニストとして知られている。それは、彼女のコンサート、とりわけソロ・コンサートが、演奏空間やプログラム構成、衣裳などの点で通常とはかなり異なっているためである。具体的には、彼女は千匹もの金魚の泳ぐ空間でピアノを弾いたり、自分の髪や陰毛の映像を投影した空間で演奏したり、大胆に肌を露出させたボディコンシャスな衣裳や裸足で演奏したりする。

 向井山は、武蔵野音楽大学、アメリカ・インディアナ大学、オランダ・スエーリンク音楽院で研鑽を積み、1991年に国際ガウデアムス演奏家コンクールで優勝した後、演奏活動を開始した。多数の音楽祭に招待されて新作の初演を行ったりオーケストラと共演するほか、MERZBOW(ノイズ・アーティスト)、伊藤キム(舞踊家)、デジタルPBX(建築家)、イアン・ケルクホフ(映像作家)など多数の異ジャンルのアーティストとのコラボレーションを重ねている。・・・という略歴を見る限り、現代のピアニストらしい経歴である。そんな彼女が、ソロ・コンサートではなぜ「変わった」形を試みるのか。私は機会あるたびに彼女にインタビューを重ね、その意図を探ってきた。その結果、極端に言えば、向井山の活動を、ピアニストではなく、「ピアノの弾ける美術作家」とでも考えたほうが理解できると思うようになった。実際、2007年5月現在、彼女は自分のウェブサイト(注1)上の略歴に「世界の舞台で活動を続ける一方、近年アーティストとしてインスタレーション作品を発表している」と表記している。私の知る限り、2006年春の時点ではこの表記はなかった。この1、2年間で彼女自身、活動の方向性がより明確になってきた結果、こうした表現に改めたのだ。

 もちろんジャンルに囚われることなく活動するアーティストということでいうと、古くから数え切れないほど多いし、音楽と美術の境界領域で活動するアーティストも少なくない。水野みか子は、1990年代の日本の音楽界において、サウンドアートという広い概念で括られる動向があると指摘し、そこでは音楽と美術のジャンルに囚われることなく活動するアーティストと作品を多数挙げている〔水野みか子、2007〕。近年の向井山の変化の背後にもそうした動きがあることは間違いないが、ピアニストである彼女の音楽活動は演奏や作曲という従来からの音楽活動から離れ難いものであるし、彼女の変化はもっと別のところから生じているように思える。本稿では、向井山朋子というピアニストの2000年以降の活動の変化を取り上げ、現在彼女が立つ位置について考えることにより、これからのピアニストのあり方について考えてみたい。
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by dahadahay | 2007-06-16 00:39 | 現在進行形の向井山朋子

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