このプロジェクトを開催する5つのまちが運営するブログです。

2007年春のある日、東京、宮城、山形、岩手、北海道でまちの音を採集する目的で有志が集まった。砂利道を踏む足音、鬼ごっこをする子供達、ラーメンをすする音、新幹線のアナウンス、いつもは気にもかけない様々な音に耳を傾け、選択し、マイクでひろっていく。
7月に全国5地域をツアーするピアノコンサート『夏の旅』ではアーティスト向井山朋子がこのまちの音を編集し、『即興曲』を中心とするピアノ音楽のパートとして編み込んで新しいシューベルトを発表します。

   ◆ 各地域の コンサート情報はこちらから ◆

東京都 江東区 宮城県 仙台市 山形県 白鷹町 岩手県 一関市 北海道 札幌市


 旅に出るといつも考えることがある。
 知っている、ってなんだろうって。
 知っていたつもりだった事柄が、一瞬のうちに無効になったり、
 知らない場所の知らない人たちに妙に親しみを覚えたり。

 誰もが聴いたことのあるシューベルトの即興曲に、そこに住む人たちが
 集めた街の音のサンプルを織り込んでいく。
 それは東京から始まって、北に進む旅とともに少しずつ形を変え続ける。
 ゆっくりと、私達が「知る」まえに。
                                        向井山朋子




山形からの報告
2007年 07月 22日  
文  千田 祥子 「夏の旅」 山形スタッフ

山形・白鷹の会場。
ピアノの前には、
廊下からはずして持ってこられた蛍光灯が、青白い光を放ち、
譜面台を照らす明かりとして、白い丸い裸電球がひとつ、
ぽっかりとそこに浮かんでいました。

コンサートの主役は、向井山さんのピアノ、なのだけど、
でも、それだけではなかったかもしれません。
窓の向こうの木々の緑は、時間の経過とともに、
青い闇から、黒の闇へと、境を見せずに移ろっていきました。

そして雨と蜩とムシたちと小川の流れる音と、
今ここで聴こえる、自然の音たちとの共演。
そして、シューベルトとテン・ホルトと、「まちの音」。

人は生きている間中、旅をし、住まいを移していきます。
もしくは、周りの環境のほうが少しずつ変わっていくこともあるでしょう。
だから、どの「まちの音」に懐かしさを感じたり、今を感じたりするかは、
とても個人的なものであって、
けれども、今、ここに集っていて、ここで聴こえているのは、
ひとつの「日常」ではなくて、
聴いている人、それぞれの、
日常や歴史につながっていく音であるような気がしました。

そして、廃校となっていた体育館は、
この日、立派な舞台であり、またもうひとりの主役であり、
ライトを浴びて、とても誇らしげ。

ぽっかりと浮かんだ、白い明かりは、
浮かんでしまった魂のようにも見え、
私を、ここではないどこかで見守ってくれている誰かのようにも、
ここには居ない人たちが、この明かりから、
この場所の様子をのぞきこんでいるようにも思えました。

最後の最後、
シャッターのあるはずの枠だけが、白く浮かび上がります。
それは、こちらとあちらの境界線。
そのシルエットが、本当に美しく感じました。
日常と非日常、ここと、ここではないどこか。
そんな境界線、本当にあるのかしら?
実は、そんなもの、ないのかもしれなくて。
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by dahadahay | 2007-07-22 09:07 | 山形県 白鷹町
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