このプロジェクトを開催する5つのまちが運営するブログです。

2007年春のある日、東京、宮城、山形、岩手、北海道でまちの音を採集する目的で有志が集まった。砂利道を踏む足音、鬼ごっこをする子供達、ラーメンをすする音、新幹線のアナウンス、いつもは気にもかけない様々な音に耳を傾け、選択し、マイクでひろっていく。
7月に全国5地域をツアーするピアノコンサート『夏の旅』ではアーティスト向井山朋子がこのまちの音を編集し、『即興曲』を中心とするピアノ音楽のパートとして編み込んで新しいシューベルトを発表します。

   ◆ 各地域の コンサート情報はこちらから ◆

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 旅に出るといつも考えることがある。
 知っている、ってなんだろうって。
 知っていたつもりだった事柄が、一瞬のうちに無効になったり、
 知らない場所の知らない人たちに妙に親しみを覚えたり。

 誰もが聴いたことのあるシューベルトの即興曲に、そこに住む人たちが
 集めた街の音のサンプルを織り込んでいく。
 それは東京から始まって、北に進む旅とともに少しずつ形を変え続ける。
 ゆっくりと、私達が「知る」まえに。
                                        向井山朋子




■ まちの音/TOKYO音採取 報告 ■ 2
2007年 05月 03日  
まちの音/TOKYO/採集ウォーキングツアー (リレー報告 / 黒崎→ボンヌ)
「門天ホールからまちへ」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
文・写真  神居ボンヌ

以前からの興味もあって、東京について考えているので「東京」の「音」を採る、ということを聞いた時には頭がはてなマークで一杯になった。
「東京」だけでも難しいのに、「音」?

そう、東京は難しい。
もっと言えば「まち」っていうものはやっかいなものなんけれども、それでも「東京」というのはフクザツです。
大きなビルができた六本木も丸の内も同じ東京。
門天のある門仲天井ホールは、すみだ川をはさんだ東にある、東京。
全然違う。けど、東京。

そして「音」。

はたして門仲で撮った音が「東京」の「音」と言えるのだろうか?
そして東京の手触りを「音」で伝えられるのだろうか。

そんな疑問をいだきつつ、今回の旅の出発点、東京の門前仲町の音をとりに行きました。
それぞれ異なる録音機材(テープレコーダー、i-pod、ローランド。。。)とその場所での写真を撮ることを約束し、チームごとに場所を分けてそれぞれの音を探す、ということで一時解散。

4つのチームがそれぞれの音をとりました。
以下はそのチームのこと。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

□ 門天ホールのお膝元、寺町門前仲町を行く「門仲チーム」

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深川不動という大きな寺で栄えた町は、江戸のかおりをかすかに漂わせながらも、まちとしてある種の猥雑さを含んでいます(でもそれは東京にも、もっと言えば日本にも言えることなのかも)
境内での音とそのまわりで発展した結果としてのパチンコ屋やらの音。。参道の出店。
下町と言う言葉が含んでいる表面的な意味以外にもいろいろなことがついてきているような気がしました。

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□ 大きな公園のある地域を行く「木場チーム」
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門仲からちょっと東へ行くと、現代美術館も近くにある「木場地域」。
このあたりは江戸時代に建築資材の材木が貯木されていた場所だから「木場」。明治時代になって、「新木場」にその機能を移してからは、マンションや公園が立ち並ぶ住宅地域として整備されている少し人工的なにおいのする、でも人はあたたかい地域です。
しかしなかなかにこの辺りは多国籍。
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例えば公園でひとつの大きな木の下で涼む家族たち。
でも、そこで話されている言葉はバラバラ。

おそらく中国系の民族タイコ?の演奏をしている家族?の一団も。
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そして下町の風景も。おじいちゃん、おばあちゃんの話し方が下町なんですね。
道ばたで、喫茶店で話す彼らの話しぶりと内容の面白さったら!
 

□ 門仲から北にある繁華街(でもちょっと下町風味)を行く「錦糸町・亀戸チーム」

先ほど、門仲あたりが猥雑だと書きましたが、いえいえ錦糸町・亀戸に比べれば。
新宿・渋谷・池袋と同じ、「副都心」として位置づけられているこの地域。でもこの町は東京でも屈指の猥雑さで混乱した独特な雰囲気を持っています。
例えば、都会の象徴、スターバックスの傍らで流れる演歌。。。
下町と都会の融合ってところでしょうか。
この日は亀戸の亀戸天神で藤まつりが開かれていて、にぎやかでした。
バスの発射音、おまつりの音。。。
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□ すみだ川沿いを行く「川チーム」
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そう、そして忘れてはならないのが川です。すみだ川。
門仲を少し行った、森下というまちから出発して、川沿いのテラスへ出て門仲方面へ南下。
海につながる潮のかおりのする川には水上バスや屋形船、モーターボートなどさまざまな船が通りすぎていきます。
それから、遠くの方で聞こえるサイレン。両側の岸に広がるビル、高速道路を行く車。
川が開けている分、音が広く響くような気がします。
川の流れる音。釣りをする子どもと観光客のおじいちゃん。。。いろんなモノやひとが流れていきます。(でもその音を録音するのはなかなか難しい)


しかも川沿いのまちは静かです。家はあるのに面を歩いている人がほとんどいません。
相撲部屋で干されてスルメのようになっているマワシ、道路で普通に干されている鰹節。。
遠くの方で聞こえる川沿いの工事の音、住宅街から少し行くと現れる工場は休日でお休み。
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静かな音を撮るのは本当にむずかしかったです。(なのであまり録音機器には入らなかった音たちです)

それから、門天の近くにあるテーマパークのような寺院。
お賽銭を入れるとしゃべり出すえんまさま。(お金を入れないと教えてくれない。しかもお願いごとにお金を入れる場所が違うのに教訓の内容はほとんど同じ)
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このキッチュなかんじが元江戸、東京なかんじです。
(京都にはこのシステムはないでしょう)
―――――――――――――――――――――――――――――――――

それぞれの採集が終わったあと、再び門天ホールに戻ってお互いの音を聞き合いました。
撮ってきた画像と音を合わせながら見るのですが、これが見てきた風景や聞いてきた音と全然違う!
これだと思って撮ってきた音がまったく入っていなかったり、自分の見てきた景色やそこにいた人の雰囲気だとかがかなり撮りたいもののファクターとして重要で、音で語ることの難しさを痛感しました。
その一方で自分が聞いていなかった「音」が入り込んでいたりして。
それはちょっとした物語を聞いているよう。
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そんなこんなで編集した音はCD-Rの形で向井山さんに届けられ、向井山さんの手によって「音楽」になるのでしょう。
これらの音が「東京」の音なのかは疑問に残る所なのですが、ほかの地域との音を比べるとまた違った思いを抱くことになるでしょうし、その時に「東京」の「音」に気づけるのかもしれません。
わたしたちの音が向井山さんの音楽にどのような形で寄り添うのか。
とてもとても楽しみです。

東京、門天はこのコンサートツアーの出発点。
そしてこのあたりはもっと昔、北へ旅立ったある芸術家の出発点でもあります。

    The monthes and days are the travelers of eternity.
    The years that come and go are also voyagers.
   (松尾芭蕉「奥の細道/The Narrow Road To OKU」 ドナルド・キーン訳)

音が私達の前に旅をして、音が旅から帰ってくる。音楽になって。
夏のはじまりのその日が待ち遠しい、そのような気持ちです。
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すみだ川を見晴らす松尾芭蕉像がある展望台の池から
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by dahadahay | 2007-05-03 21:46 | 東京都 門仲
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